【トラックドライバー向け】職務経歴書の書き方の基本!見本も公開
トラックドライバーの職務経歴書では、扱える車両の大きさや担当していた仕事の内容を具体的に記載することが大切です。「運送会社でドライバーの経験が3年ある」という書き方では、スキルや実績、保有資格などが伝わらず、面接官にアピールすることができません。
ここでは、トラックドライバーとして転職を考えている方向けに、魅力的でわかりやすい職務経歴書の書き方のコツを紹介します。
職務経歴書とは?履歴書との違い
職務経歴書とは、時系列で職務経験を表示するとともに、職務内容やスキルをわかりやすくまとめたものをいいます。
履歴書が、応募者の名前や住所、連絡先、学歴・職歴といった基本のプロフィールを記載しているのに対して、職務経歴書の役割は、仕事面に特化して情報を記載しています。
面接官は、職務経歴書をもとに、「どんなスキルを持っている人か」「どんな仕事をまかせられるか」を判断します。そのため、応募先が求めている条件を満たしていることを、職務履歴書でアピールすることが重要です。
また、履歴書が決まったフォーマットを使用するのに対して、職務経歴書のフォーマットは大枠の項目は決まっているものの、細かい書き方は自由です。時系列や職務内容、スキルなど、面接官が見やすいようにまとめましょう。
職務経歴書を書くときのポイント
では、相手が要点をつかみやすい職務履歴書にするにはどのように書けばいいでしょうか。書き方のポイントを以下に紹介します。
業務内容はできるだけ具体的にする
業務内容を記載する際は、できるだけ具体的に記載しましょう。たとえば、以下のような項目を盛り込むと、「トラックドライバー〇年」よりも、スキルや経験値をより具体的に伝えることができます。
- 使用していた車両の種類
- 担当エリア
- 車両点検や整備の有無
- 荷積み、荷下ろしの経験
取扱い経験のある運送貨物の種類についても、記載しておくことでアピールポイントとなります。
トラックドライバーの仕事は、長距離輸送やルート配送、引っ越しや宅急便など企業によって詳細が異なります。そのため、職務経歴書に詳しい業務内容を記載することで、採用担当者が「求める人材に必要な経歴・スキル」を判断する際の材料になります。
数値を明確にする
業務内容を記載する際、数値を用いると、より実績の具体性が増します。たとえば、車両の積載量や、配送件数、業務の担当期間など、実績に数字を添えると経験のアピールとなります。
また、マネジメント経験や新人の育成経験を記載する際には、育成を担当した新人の人数や、マネジメントの範囲について記載しましょう。売上目標や営業件数といった実績を担っていた場合にも、忘れずに数値を用いるといいでしょう。
運転時に心がけていたことを載せる
運転中に心がけていることや、事故を防ぐための予防策なども記載することで、面接官に安心感を与えることができます。
トラックドライバーにとって、事故を起こさないということは基本でありながら重要なポイントです。日頃の取組みを記載し、事故を防ぐために何を心がけているかをアピールしましょう。
具体的には、「早朝勤務の際は、飲酒を控え、〇時には就寝するよう心がけている」と日常生活の取組みを記載すると、自己管理能力の高さが伝わります。
客観的な評価を載せる
トラックドライバーにとって、事故歴や違反歴は、運転能力を評価する基準の一つです。無事故・無違反期間が長い場合には、「無事故・無違反証明書」を入手し、コピーを職務履歴書に添えるといいでしょう。
また、自動車安全運転センターでは、5年・3年・1年の期間での交通違反や交通事故など行政処分の記録を記載した「運転記録証明書」を発行しています。
企業のなかには、トラックドライバーに運転記録証明書を提出してもらい、交通事故防止や交通安全意識向上に取り組んでいるところがあります。そのような企業では、職務経歴書に添付された証明書を選考の判断基準とするでしょう。
保有免許・資格は必ず記載する
保有している免許や資格は、必ず記載しましょう。トラックドライバーの仕事で役に立つ免許や資格には、以下のものがあります。
普通自動車第一種運転免許
ドライバーにとって、絶対に必要な資格です。車両総重量3.5トン未満の車両を運転できます。
準中型自動車免許
平成29年より新設された免許の種類です。車両総重量7.5トン未満の車両を運転できます。
中型自動車第一種運転免許
車両総重量11トン未満の車両に対応しています。
大型自動車第一種運転免許
車両総重量11トン以上に対応しています。21歳以上、免許期間3年以上が受験資格であるため、大型免許を取得しているドライバーは優秀なスキルを持っている人材と見なされます。
牽引自動車第一種運転免許(けん引免許)
牽引免許は、普通免許や大型免許を有している18歳以上の人が受験できる資格です。牽引免許をもっていると、トラックドライバーとしては大量輸送の業務を担当できます。
玉掛け技能講習
玉掛作業者とは、荷重1トン以上のクレーンや移動式クレーンを扱うときに求められる資格です。トラックドライバーに欠かせない補助資格とされており、大型免許と合わせて取得していることで業務の幅が広がります。
経験や保有資格によって求められる講習の時間区分が変わり、19時間のコースであれば、18歳以上という年齢基準を満たせば誰でも受験可能です。未経験からトラックドライバーを目指したい人は取得を考えてみるといいでしょう。
フォークリフト運転技能講習
フォークリフト運転技能講習を修了した人は、最大荷重1トン以上の荷物の積み下ろしが可能となります。大型輸送の際は、手積みの作業ではなく、フォークリフトを利用してのパレットでの積み下ろしが一般的です。
そのため、フォークリフト運転技能者の資格を持っていることで、大型トラックの運転と大型荷物の積み下ろしの両方を担当できます。
クレーン・デリック運転士免許
クレーン・デリック運転士免許は、つり上げ荷重5トン以上のクレーンもしくはつり上げ荷重5トン以上のデリックの運転業務で求められる資格です。
運転士免許には、「限定なし」「クレーン限定」「床上運転式クレーン限定」の3種類があります。免許を取得するには、全国7カ所に設置されている安全衛生技術センターで学科および実技に合格する必要があります。
危険物取扱者資格
危険物取扱者資格を取得しているドライバーは、ガソリンなど消防法上の危険物の輸送業務を担当できます。資格には「甲種」「丙種」「乙種」の3種類があります。
甲種は、第1類から第6類まですべての危険物の取扱い・立ち合いが可能です。丙種の場合は、第1類から第6類までの種類を選んで受験し、取得した種類に含まれる危険物のみ取扱いが可能になります。丙種はガソリンや灯油といった第4類の取り扱いを許可する資格です。
燃料輸送の会社でトラックドライバーとして働く場合は、危険物取扱者資格がアピールポイントとなります。
その他の資格
ビジネスマナー検定や英検、漢字検定など、一見トラックドライバーの仕事に無関係と思える資格についても、保有している場合は一覧にして記載しておきましょう。
トラックドライバーの職務経歴書の見本
職務経歴書は、「職務要約」「職務経歴」「保有資格」「得意分野」「自己PR」といった基本項目にそって記載します。下記に、トラックドライバーの例文とともに書き方を紹介します。職務経歴書を作成する際の参考にしてください。
職務要約
まずは、これまでの職務経歴を簡単にまとめましょう。全体として200文字~300文字を目安に記載するといいでしょう。経歴や保有資格、応募にあたっての意欲を中心にまとめると、「どのような人材であるか」が採用担当者に伝わりやすくなります。
【例文】
私は、高校卒業と同時に普通免許を取得、引っ越し会社で4年間ドライバーとして働いたあと、中型免許・大型免許を取得しました。その後、長距離輸送を行う企業にトラックドライバーとして転職。仕事を続けながら、危険物取扱者の丙種を取得するなどスキル向上に励んでいます。現在は10トン~12トンの大型トラックの長距離ドライバーとして、月の半数は早朝や夜間シフトを担当しています。危険物取扱者の丙種を保有しているため、御社の燃料輸送業務で活かせると考えています。
職務経歴
職務経歴は、時系列で記載します。最新の経歴から記載すると、「いま何をしているのか」「どのような資格や経験を積んできたか」が伝わりやすくなります。同じ会社で部署移動がある場合にも、必ず記載しましょう。具体的には1社につき下記の情報をまとめます。
- 会社名
- 所属年月
- 仕事内容
- 実績・成果
【例文】
ヤマネコ運送 2015年9月~2019年3月:正社員
<仕事内容>
2018年4月~現在:物流事業部・東海エリア
・12トントラックによる長距離ドライバー
・ガソリン、灯油の輸送業務
・フォークリフトを使用した荷物の積載・積み下ろし作業
2015年9月~2018年3月:運送事業部・北関東エリア
・12トントラックによる長距離ドライバー
・フォークリフトを使用した荷物の積載・積み下ろし作業
保有資格
保有している資格を記載する際は、必ず正式名称で記載します。また取得日もあわせて記載しましょう。保有資格は職務経歴の項目のあとに、まとめて一覧で記載するとスッキリと見えます。
【例文】
■保有資格
- 普通自動車第一種運転免許(2010年4月)
- 大型自動車第一種運転免許(2014年4月)
- フォークリフト運転技能講習(2017年8月修了)
- クレーン・デリック運転士免許(限定なし)(2017年10月修了)
- 危険物取扱者資格(2018年3月)
得意分野
得意分野の項目では、仕事で得られた強み・スキルを記載しアピールにつなげます。その際、ただ「自己管理能力に優れている」など、強みを記載するだけではなく、その強みを得られたエピソードを合わせて記載すると内容に説得力が生まれます。
【例文1】
・自己管理能力と安全運転意識をアピールする場合
「前職では、毎年交通安全意識を高めるための研修が行われていました。そこで、前日の深酒から翌日の運転業務に支障をきたし事故に至った事例を知りました。私は、業務で安全運転を怠らぬよう、特に深夜・早朝の移動がある前日は飲酒を控え、7時間以上の睡眠を確保するようにしています。その結果、3年連続で無事故・無違反となり、社内でも模範ドライバーとして表彰されました」
【例文2】
・ドライバーとしての想定外の状況に対する対応力をアピールする場合
「配送エリアの店舗に時間内に荷物を届けるため、交通情報を出勤前に確認しています。以前の職場で大雪の日に出社できないドライバーが多く、配送が遅れるという事態が発生しました。自然災害は防ぎようがないですが、それ以降、”何かあったときのため”を想定し、早めに出勤したり、別ルートを確保したりできるよう、頭のなかで対策を考えるようになりました。その結果、配達時間が正確になり店舗の社員さんからも感謝の言葉を頻繁にいただくようになりました」
自己PR
自己PRでは、職務経歴と得意分野を総括する内容を記載します。どのような仕事に従事してきたかを簡単にまとめ、実績と具体的なエピソードを記載することで、魅力的な人材であることをアピールできます。
自己PRは、長すぎないように200文字~300文字程度でまとめるのが理想です。
【例文】
安全かつ時間通りの配送に自信があります。勤務先では、コンビニなど店舗へのルート配送を担当しているため、業務前に天候や幹線道路の状況を確認し、到着時間から配達にかかる時間を逆算する習慣をつけています。3年担当しているルートでは、渋滞があるときの迂回ルートにも詳しくなり、時間を守った配達を行えています。ドライバーとして安全に運転するスキルはもちろんのこと、配送という業務の重要性を踏まえ、必要な手順や管理を行えるのが私の強みです。このような正確性や、役割を全うする責任感は、御社のような1日の配達件数が大規模な会社でも役に立つと確信しています。
実績・成果
実績や、評価された経験について客観的なものがある場合に記載します。トラックドライバーの場合は、無事故・無違反証明書などがスキルの証明になります。また、社内表彰の受賞歴などを記載するのもいいでしょう。
【例文】
■実績
・5年間無事故・無違反です(証明書を添付します)
・前職では、営業成績優秀者として4半期に1回発表されるMVPを3回受賞しました
未経験の仕事へ転職する場合は何を推せばいい?
未経験からトラックドライバーに応募する際には、求人に記載されている必須条件や歓迎条件に関連した資格や経験をアピールしましょう。
とはいっても、大げさに記載する必要はありません。「運転免許を取得して3年、無事故・無違反です」や「事故が起きないよう、先回りして予防策を考え実行することができる」など、自身の経験の中から、トラックドライバーに求められる能力・実績に言葉を置き換えて記載するといいでしょう。
トラックドライバーの仕事へのアピールポイントとしては、体力・注意力・自己管理能力なども当てはまります。トラックドライバー以外の仕事で培ったスキルを、応募先でどのように活かせるかを考え、職務経歴書に記載するといいでしょう。
職務経歴書は重要なアピール材料!
職務経歴書は、仕事に特化した内容を記載することから、求人に応募する際の重要なアピール材料となります。自身の経歴・仕事内容など、項目別に整理することで、企業が求める人材であることを伝えることができます。職務経歴書には、扱える車両や荷物・担当していたエリアなどを具体的に記載し、数値をもとに実績・経験を伝えましょう。ポイントを押さえて作成することで、面接官に好印象を与える職務経歴書となります。
文責:働きやすい職場のミカタ編集部