【タクシードライバーの働き方】勤務形態・勤務時間を徹底解説!

    朝から晩まで、街中でひっきりなしに見かけるタクシードライバー。いつどこでも見かけることから、休みが少なくて残業も多そう…と思われがちですが、実はタクシードライバーの働き方は自分次第です。

    この記事では、タクシードライバーの勤務形態や勤務時間についてご紹介します。残業や有給休暇についても解説するので、タクシードライバーに興味がある方はぜひ参考にしてください。

    タクシードライバーの働き方は大きく4つ!

    タクシードライバーの働き方は、大きく分けて4つの種類に分けられます。

    • 昼日勤
    • 夜日勤
    • 隔日勤務
    • 定時制

    まずは、それぞれの働き方について詳しく解説します。

    昼日勤

    一般的な会社員と同様に、昼間のみ働く勤務形態が「昼日勤」です。勤務時間は企業によって若干異なりますが、7~16時、8~17時などが一般的です。

    8時間勤務で休憩は1時間となっており、メインの客層は、朝出勤する会社員や自宅から病院などに向かう高齢者などとなります。

    昼日勤での稼ぎどきは、早朝です。これは、出勤や外出するタイミングでタクシーを使う人が多いためです。そのため、昼日勤のタクシードライバーは、朝早めの時間から勤務する人が多くなっています。

    昼日勤での勤務日数は、月に22〜24乗務ほどで、休みは月に6日が一般的です。勤務日はシフト制で決まるため、土日に決まって休みが取れるというわけではありません。

    また、タクシーの主な稼ぎどきは夜間となるため、昼日勤を採用しているタクシー会社は少なめです。

    夜日勤

    夜日勤は、昼日勤とは真逆の働き方で、夜間のみ働く勤務形態です。勤務時間は18時〜翌2時、19時~翌3時が多く、8時間勤務で1時間の休憩が取れる点は昼日勤と同様です。

    夜日勤でメインとなるターゲットは主に社会人で、繁華街に向かう方、飲み会後に帰宅される方、終電を逃してしまった方などが主に利用します。夕方過ぎの時間帯は、夜の勤務へ向かうケースや、退社後に飲み会へ向かうケースでの利用が増えます。日付が変わる時間帯になると、終電を逃してしまった方がメインの客層となります。昼間と比較すると、長距離移動のお客様が増えるだけでなく、深夜割増料金が発生するため、夜日勤は稼ぎやすいというのが最大のメリットです。

    また、夜日勤の勤務日数も、昼日勤と同様で月に22〜24乗務ほど、休みは月に6日程度もらえます。なお、勤務日はシフト制で決まります。

    隔日勤務

    タクシー会社で最も一般的な働き方なのが、隔日勤務です。勤務時間は1回の勤務が約20時間となり、勤務中に合計3時間の休憩を複数回に分けてはさみます。1回の勤務時間が非常に長く、昼日勤と夜日勤を合わせて、2日分を一気に働くような勤務形態です。

    隔日勤務では、出勤した日の翌日は「明番」という名の休日となります。出勤日である「出番」と、出勤の翌日の「明番」を2回繰り返した後、丸一日お休みになる「公休」を取るというローテーションを繰り返します。

    例えば、1日の朝8時から2日の早朝4時までの勤務だった場合、次の出勤は3日の朝8時から4日の早朝4時となり、5日が公休となる流れです。明番の日は早朝4時まで仕事はありますが、それ以降は実質的にお休みのような状況になります。

    このように一気にまとめて働くことで、効率的に稼げるように工夫されているのが隔日勤務の特徴です。

    隔日勤務の乗務日数は、月に11~13日です。働く時間帯はタクシー会社によって異なり、24時間常にタクシードライバーが不足しないように調整されています。

    タクシードライバーを目指すなら基本的に隔日勤務となるため、この働き方に慣れておく必要があります。

    定時制

    中には、アルバイトやパートといった立ち位置のように、勤務日数を抑えてシフト制で働く、定時制という勤務形態もあります。定時制では、昼日勤や夜日勤、隔日勤務のいずれかのシフトで勤務することになります。

    ただし、定時制は「正社員と比較して2/3以下の勤務日数にしなければならない」といった条件を満たさなければなりません。そのため、「隔日勤務であれば月に8回以下」「日勤・夜勤の場合は月に16勤務以下」と、決められている日数以上働くことができません。

    また、定時制は他の働き方に比べて勤務日数が少ないため、歩合率を5~10%と低く設定しているタクシー会社もあります。タクシードライバーとしてしっかり稼ぎたいという方には、定時制は向かないかもしれません。

    一方で、育児や介護など、家庭の事情で働く時間が限られる場合、定時制はとても働きやすい環境です。家庭の事情以外にも、他に本業がある方や定年退職された方などにも向いているでしょう。

    タクシー会社は残業が多い?

    いつでもどこでも見かけるタクシーは、残業が多いイメージを持たれがちですが、実はそうでもありません。タクシードライバーの労働時間は、厚生労働省や国土交通省によってきちんと定められています。

    具体的には、タクシードライバーの1ヶ月あたりの拘束時間は262時間が限度とされています。ただし、労使協定が締結されている場合には、1年のうち6ヶ月までは、1ヶ月当たりの拘束時間を270時間まで延長することが可能です。

    隔日勤務の場合の拘束時間も、1乗務あたり21時間以内と明確に決められています。隔日勤務の場合は、勤務終了後に20時間の休息時間も確保しなければなりません。このように、明確に勤務時間が定められているため、タクシードライバーは残業がそこまで多くありません。

    タクシードライバーは、乗客の命を預かる仕事でもあるため、安全運転が欠かせません。無理な残業が常態化してしまうと、タクシードライバーだけでなく乗客も危険になってしまうため、しっかりと法整備がされています。

    タクシー会社に有給休暇はある?

    有給休暇は労働基準法で定められている

    労働基準法では有給休暇を意味する「年次有給休暇」について定められているため、もちろんタクシードライバーも有給休暇の取得が可能です。

    具体的には、6ヶ月継続勤務している通常労働者は、年10日の有給休暇が付与されることになっています。週の所定労働日数が4日以下で、かつ週の労働時間が30時間未満となる場合であっても、6ヶ月継続勤務をしていれば、年1~7日の有給休暇が付与されます。

    また、平成31年からは労働基準法が改正され、有給休暇が10日以上残っている全ての労働者は、毎年5日間、有給休暇を確実に取得しなければならないことになりました。こうした背景があり、タクシードライバーも有給休暇が取りやすくなっています。

    一般的な会社の場合、社員同士で連携して仕事を行っていく必要があるため、社内の雰囲気や忙しさ、同僚と有給休暇の取得時期が被らないようにするなど、周りへの配慮が求められます。

    これに対してタクシードライバーは、基本的に1日の運行スケジュールなどを自分で決められるため、個人プレーの要素が強いことが特徴です。チーム制で働くわけではないため、休みなども自分で決めやすくなっています。

    隔日勤務の場合は、明番の翌日に有給休暇を取得することで連休を作ることも可能です。売上目標や家庭の事情などとバランスを取りながら、個人事業主のように自由に休みを設定できます。

    忙しく働く月とセーブしてマイペースに働く月を分けることができることも、タクシードライバーの魅力です。

    有休の金額は企業によって異なる

    有給休暇中に支給される金額は、一般的な企業と違い、タクシー会社によって異なります。理由は、タクシー会社の多くは「固定給+歩合+諸手当」などの給与体系を採用していて、月給が固定で決まっていないためです。

    そのため、「前月の給与が1日平均いくらだったかを計算し、その80%を保証する」「直近3ヶ月の個人売上を日割計算する」などと定めている会社もあります。有給休暇でもらえる金額は、各タクシー会社の規定によって異なることも覚えておきましょう。

    都会と地方でタクシードライバーの働き方に違いはある?

    街中を走りながら乗客を探すことを「流し」と言いますが、地方のタクシードライバーは流しがあまりありません。

    都会ならば人が多いため、流しでもお客様を乗せることができますが、地方は人が少ないため、流しではなく、タクシー乗り場でお客様を待つ「付け待ち」や、電話やネットで予約されたお客様のもとへ行く「無線配車」がメインとなります。

    流し営業がない分、地方のタクシードライバーは待ち時間が多く、暇に感じることもあるかもしれません。また、都会のタクシードライバーと比べると、地方のタクシードライバーは売上を稼ぎにくいことから、給料が低い傾向にあります。

    柔軟に働けるのはタクシードライバーの魅力!

    タクシードライバーは近年は子育てや介護をしながら働けるよう定時制の働き方を採用している企業も登場しています。

    好きな時間に休憩を取れたり、自分の裁量で有給休暇を取得できたりと、実は柔軟な働き方ができるのがタクシードライバーの魅力です。

    個人事業主のように自由な働き方ができるのはタクシードライバーの魅力なので、転職の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

    文責:働きやすい職場のミカタ編集部